新装版

かれこれ13〜4年前に虹釜太郎の360° Recordsから発表した『Pisin Jaz From Mobile Station Radio』のジャケ新装版(ディスクは、オリジナル版と同じ内容、体裁だが、オリジナル版ジャケットが僅少のため、ジャケを新装することに)の作業

 

25日の夕方に仕上がった新装ジャケ、パール紙のような表面にツヤのあるプリンター用和紙に刷ってみたところ、納得の行く仕上がりで、手作業にも気合が入る 

 

オリジナル版ではモノクロの画面に印刷していた数枚の写真…スマトラ最北端の島の浜辺、マレイシア首都クアラルンプルの華人街の路地裏の惣菜屋台、バンコク市内、チャオパヤ河沿いの水上バス船着き場、昔日の後楽園球場の写真が、ステキ♡

 

時系列通りに古い順から行くと、まだ今の東京ドームに競輪場が有った頃に白山通り寄りに隣接していた後楽園球場(後楽園スタジアム)

後楽園は、生まれ育った地元のまちから自転車でも15分ほどで行ける距離感もあってか?アニメ『侍ジャイアンツ』に出て来てたような球場界隈の夜の空気感とか、子供の頃から親近感たっぷりで観ていたんだけど、その場面を見てるヨルの気配も同じ記憶のレイヤーとして残存してる

そのレイヤーの方は、もはや普遍的なヨルとしか言いようのない「本当の夜」だと、思ってて、思考の通路の壁面に貼りめぐらされた壁紙のように連綿と続いている

 

地元もバンコクもKLもペナンもハッヂャイもヴィエンチャンもスマトラも笹塚も新井薬師豪徳寺台北デトロイトも九条も難波千日前も大国町もツアーで行った先々も野球選手が試合以外の寄宿先のホテルの傍みたいなロケーションで誰かと邂逅する…みたいな場面の背景にあるようなヨルの空で溢れてる  

ぼくにとって「グルーヴ」というのは、このヨルの空気が宿す真空のような「空洞」のことで、先に列挙したような夜の景のファイルのどれかを開いただけで無数のサムネイル画像が連結されて来て、もはや加齢ポーテイションっつーか、カレポーテイションっつーかw

 

話が逸脱してるけど、ライスカレーを食べると起きる軽い意識変容のことを「カレポーテイション」と、呼ぶことにした  

 

カレーDJをやるときもカレポーテイションを名乗りたい

 

次いで、1987年3月当時、ほっつき歩いてたマレイシアのKL(クアラルンプル)のチャイナタウンで撮った写真の屋台は、惣菜が一杯並んでて、好みのおかずを選び、粥か白飯を頼んで、傍らのテーブルにて食べて行くことも出来る店で、客家人の好むような挽肉と塩漬けタマゴの蒸したものや、冬瓜のあんかけ、大ぶりのサヤインゲンを厚く切ったベーコンと炒めたもの等々、今でも時おり憶い出しては家でつくる惣菜もこのような大牌當で知ったものだった

地域の再開発で、随分と様変わりしたと聞くが、路地裏のいくつかの屋台は、現在でもあるようなので、いつか再訪してみたいものである

 

バンコク市内で撮った写真は、ロイヤルオーキッドシェラトンだったか?高級ホテルの近く、確かチャルンクルン通りから、一本河べり方向の辻を入った奥に有って、船着き場の小さな桟橋の手前に切符売り場を兼ねたカウンターだけの茶店があって、15歳ぐらいの娘さんが切り盛り、気に入って飲んでた麦芽飲料に練乳とクラッシュアイスを入れた冷たい飲み物や喫茶店における軽食よろしく焼きめしを頼んだりしながら、店番の娘さんや家族のひとたち、ご近所さんたちと、2〜3時間ほど冷やかし合い&談笑、午後ののんびりした時間を過ごした居心地の好い場所だった 

 

バンコクには、随分と行ってないけど、1987年2月に滞在して以来、旧市街に滞在したがる傾向にあるので、バーンランプーはともかく、カオサンとかマジ苦手

好きなのは、マイトリチット通りとかヤオワラー通り、MRT開発以前のチャルンクルン通りや、セーンセープ運河沿いとか…

確か、87年のときか?初めて買ったルクトゥンのカセットもヤオワラー通り沿いの京都(サイヤム)銀行近くの露店でだったナ

 

表1のシンメトリィ処理したヤギさんが歩いてる浜辺の写真は、91年春に行ったスマトラ島最北端のヴェ島の漁村に滞在したときに撮影

プロウヴェには、2週間ほど滞在、うち6日ぐらいイスラームの漁村に居て、宿は村の集会所みたいな建物の一角を借り、食事は、宿の斜向いの漁師さんのお宅で賄いをつくっていただいて、とれたての魚の塩焼きと若干の野菜の煮物、米と、塩、生のトウガラシという定食か、朝食だけは、浜辺に在ったワルン(日用品や食料を扱う雑貨店)にある茶店で即席めん(目玉焼と油で炒めたニンニクものっていて、結構ガッツのあるインスタントラーメンなのだった)を作ってもらったり… 

日本軍の居た塹壕に行ったり、地元のひとたちから「おまえさんの国の軍人の骨がいっぱい沈んでる」と云われながらシュノーケリングしたり、ヨルは空を見上げると満天の星…あのときは、音がミュートするような可聴域外の音圧を伴った星の波動の感じ、凄かったなー

ふと目を転じて、自分が居る周りを見回すと辺りは、身体を洗うように触れては退いて行く波と一体化したような真っ暗の闇で、ホント静かだったけど、礼拝所からのアザーンが聞こえる時間帯は、滞在していた漁村の集会所が、アザーンを拡声するスピーカーの近くでもあったから、音量の大きさにびっくりもしたけど…

 

シンメトリィ処理をしたので、丁度右脇の木の枝が、ど真ん中に来て、幹のない樹木になって、中空に浮かんでるようで、ミステリアスな雰囲気の写真になったのが、とても気に入っている

 

オリジナル版の表1だと、このプロウヴェ滞在のあと、スパイの嫌疑で軍警察に拘束されたり、カロバタック地方の居心地の良さにクラクラしたり…を経て、辿り着いたブキットラワンのオランウタン保護区で、運良く手を繋いだり出来た(本当は規則でNGらしかったが、偶然、オランウタンの方から、背中伝いに乗って来たのだった!)ときの写真を手描きジグゾーにあてはめたデザインなのだが、新装版では、オリジナル版の発表から拾年以上経ってることもあり、当時は、購入していただいた方にしか見れなかった、内ジャケの写真を新装版の表1にもって来ることにした

 

当アルバム、とくに後半の数曲が、たまらなくヨルの気配が澄んだものになって録れてると思うので、未聴の方にも体験していただきたい♪ (また、曲の解説やエピソード等、書いてみようと思いつつ…) つづく